スポーツベット入金不要ボーナス より安全を求めて。これまでの社内の常識を 根本から変えていく

~工法切替えを全社員に広く浸透させる、全面「間接活線工法」適用プロジェクト~

PROJECT MEMBER
安全ルール制定担当 S.K/工具・用品開発担当 K.M/作業プロセス制定担当 S.M/技術教育担当 M.H

2025年10月、スポーツベット入金不要ボーナスパワーグリッド配電部門で工法の切替えがおこなわれた。技術者が高圧充電部の点検・工事をおこなう際に、より安全かつ誰もが一定の作業品質を確保できるよう制定された「間接活線工法」である。過去に一度、導入が進められながらも休眠状態だったこの工法。なぜ、今このタイミングで工法が切替えられたのか。再度挑戦してまでも切替える必要があったのか。そこには高圧感電災害を撲滅し、この先も仲間を災害から守り続けたいという熱い想いがあった。

PROJECT FLOW

  1. 01.
    1950年代
    外線工事の時代
    直接活線工法が主流
  2. 02.
    1991年
    保守技術・内線業務
    ・応急復旧の時代
    間接活線工法を導入
    直接活線工法と併用
  3. 03.
    2010年
    間接活線工法の拡大を休止
  4. 04.
    2021年
    間接活線工法への
    全面切替えを検討開始
  5. 2025年10月
    間接活線工法へ
    切替え完了(注1)

(注1)作業適用が適わない環境下においては、局所的に直接活線工法の実施を残す

PROJECT POINT

  • Check 社員一人ひとりのマインドを変える挑戦
  • Check 全面切り替えを必ず達成するために
  • Check 誰一人取り残さない運用をめざして

CHAPTER 1

絶対に立ち戻らない。現場とともに進める工法変革

電気を安定して送り続けるために、電力設備の点検や工事は、送電を止めずにおこなわれている場合がある。高圧電流が流れる配電線路においても、これまでは絶縁素材の上着や手袋(保護具)を着用し、絶縁素材の防具により電線を防護しながら、手作業でおこなってきた。これが「直接活線工法」である。長年、当社のみならず他電力会社でも主流の工法であったが、一方で感電事故のリスクが大きいものでもあった。保護具を装着していれば、電線を握る作業であっても感電は起こらない。また、電線を正しく防護できていれば、体が当たっても感電は起こらないため、一定の安全は担保されている。しかし作業するのは人間である。どれだけ巧みな技術者でも「絶対」はない。

「私たち4名も新人時代は現場に配属され、先輩から技術を学んできました。技術者はみんな、"感電しないこと"を徹底的に意識付けられ、直接活線の技術を磨いてきました。ですが、配電部門の作業は電柱の立っている場所や作業姿勢などケースによってさまざまで、指導を定型化していってもすべてのケースを網羅することは難しい。現場に立ちながら"安全って何だろう"と常に疑問がありました。」(安全ルール制定担当:K)

加えて、技術力の高いベテラン技術者の高齢化も喫緊の課題となっていた。
定年退職が近い50~60代が若かりし時代は、設備が急速に増えた時期だった。日常的に電柱を立て、電線を張る業務に携わってきたことで、経験から技術力を向上させることができた。しかし、設備の普及が進んでからは保守業務が主流となり、さらに設備工事は工事会社が担うことが増えたため、技術力を磨く現場業務が少なくなっていた。それでも電力供給が続く以上、頻度は減っても保守業務や応急復旧対応はなくならない。技術者を絶やすことはできないが、高い技術力の継承も簡単ではない状態になりつつあった。

「私たちは今だけでなく数年、数十年先も見据えて行動しています。現場はもちろん、上層部も安全性や技術継承には強い危機感を覚えており、2021年、道具を使って遠距離から作業をおこなう"間接活線工法"の導入検討がはじまりました。」(作業プロセス制定担当:M)

■過去の経験があるからこそ求められた、揺るがない意志

実は1990年代にも一部現場で取り入れられていた間接活線工法。そのときは大きな効果が見えず、導入拡大が中止になったという過去があった。
そのため、今回の工法切替えに対しては、「本当に実現できるのか」「こうした場合はどうするのか」といった声も多く、社内には懐疑的な見方も広がっていた。

「今回のプロジェクト遂行にあたっては、運用ルールを策定し、現場に実装させるだけでなく、工具配備や用品改良、装柱(電柱上の設備配置)の見直しなど、作業環境整備にも徹底的に踏み込みました。また、背景や目的を現場へ丁寧に共有し、全社員が全面切替えの当事者として主体的に取り組めるよう意識醸成を図りました。」(安全ルール制定担当:K)

前例のない工法自体の完全な切替え。今回は社長からも「必ず切替える」という明確な方針が発信されたことで、立場や経験に関わらず、社員一人ひとりにその本気度が伝わった。

「最初に"2025年に保護具を捨てる"と宣言をしました。もう直線活線工法には戻らないという強い意志の宣言です。これは現場にも大きなインパクトを与えました。今振り返ると、期日を明確に掲げたことも、着実に歩みを進める後押しになったと思います。」(安全ルール制定担当:K)

設定された期間は3年。それまでにどう準備を整えて、現場へ落とし込んでいくか。
達成への鍵は「主体性」にあった。

CHAPTER 2

技術者の安全を守るために。
これまでの常識さえ疑って挑む。

前回間接活線工法を取り入れていた期間は、全面切替えまでは考えられておらず、直接活線工法との併用であった。そのため、専門的な用品の研究・開発に重きが置かれていなかった。諸先輩方からも、「やるからには抜本的に考えた方がいい」とアドバイスがあったと安全ルールの制定を担当したKは語る。
安全ルールを根本から見直し、作業プロセスをゼロから考える。工具・用品についても、他社の使用品を調べ、ないものは新たに開発する体制でプロジェクトは動き出した。
最初に上げられた検討箇所・タスクは200近くあった。それをカテゴリ分けして、分担。各担当セクションにバトンを渡す形でPDCAを回していった。

■「安全」の理由を紐解き、新たに構築する

安全ルールの制定を担当したKは、プロジェクトの規模に背負う物の大きさを感じたと話す。

「スポーツベット入金不要ボーナスパワーグリッドだけでもこの工法を扱う作業者は1,200人近くいます。工事会社を含めれば数千人、業務上関連のある社内外の関係者も含めれば数万人の仕事を変える役割です。より安全に工事するためにはどうするべきか。それまでの安全ルールを根本から見直すことからはじめました。」(安全ルール制定担当:K)

大学教員とも連携し、今までの作業は本当に安全なのか、なぜこの作業が必要なのかから考えた。現場の声も積極的に収集し、本社からの理想の押しつけにならないようにも留意した。

「運用を定めている我々の仕事は、直接価値を生むことにはつながりづらい"動き"でしかなく、実際に現場で対応いただいていることだけが、付加価値を生む"働き"だと上司から言われたことが心に残っています。現場へのリスペクトを忘れない。自分も、現場も納得し、安全のために必要なルールだと思ってもらえるよう尽力しました。」(安全ルール制定担当:K)

■限られた時間の中で、最適解を出すために

その安全ルールを遵守するために、バトンを受け継ぐのが工具・用品開発担当のMだ。
3年の準備期間で、工具導入は150品目にも及んだ。

「今回、間接活線工法ではいわゆるマジックハンドのような、充電部から離れた位置で作業ができる工具・用品を開発しました。作業別に用意した細かな先端部品も多くあります。開発にあたっては、安全性はもとより、作業性・耐久性・コストの両立を常に意識し、試作と検証をひたすら繰り返しました。この過程を経て導入した工具であっても、現場導入後に想定していない使い方による破損や、現場環境により使用が困難になるといった新たな課題が生じることがあり、こういった課題に対応するため、導入後の工具に対する改良も並行して進めてきました。」(工具・用品開発担当:M)

過去に間接活線工法を導入した際は、当時最先端であったマニュピレータの研究開発をおこない、現場へ導入していた。マニュピレータとは、高所作業車のバケットに取り付ける絶縁性のロボットアームであり、これを用いることで作業者は工具を直接保持することなく、ロボット操作のみで作業をおこなうことができる。しかし、組み立てが複雑であったことや、操作に熟練技術が求められたことから、現場での定着には至らなかったという経緯がある。

「間接活線工法への切替えまで3年という限られた期間のなかで、まずは実現性が高く、誰もが扱いやすい工具の開発・導入を優先しました。しかし、今後は先端技術の導入に向けた研究を進め、いずれは作業の自動化や無人化を実現したいと考えています。」(工具・用品開発担当:M)

工具は、ギミックや強度にこだわるほど重くなってしまう。このため、安全な機能性を備えながらも、なるべく軽く、作業者が扱いやすい構造の実現を目指した。その調整には特に苦慮したという。
「安全ルール制定担当、作業プロセス制定担当と対話を重ね、問題点を改善しながら開発を進めていきました。」と工具の開発を担当するMは当時を振り返る。

「プロジェクト着任前は周りから指示を受けて動くことが日常でした。しかし、このプロジェクトでは自分から考え、働きかけていかないといけない。自分が歩みを止めたら全体の進行が止まってしまう。仕事への意識を変える3年になりました。」(工具・用品開発担当:M)

工具の開発を担当するMからバトンを受け取る作業プロセス制定担当のMも、自分が背負う責任の重さを日々感じながらプロジェクトに携わっていたと語る。

CHAPTER 3

学ぶ途中で諦めさせない、
「全員」の作業修得を実現する

作業プロセスの制定は、まさにゼロからの挑戦だった。
匠とも呼べる技術者個人の技力に頼っていた時代から、誰もが高水準レベルで作業ができる時代へ。今までとは根本から見直す必要性を最初から感じていた。

■自分たちの判断が、作業者の安全に直結する責任

「作業プロセスを明確にするために、はじめに作業の手順をまとめた"要素作業書"をつくりました。手順を徹底的に洗い出し、写真や文章に加えて動画を添えながら一つの動作ごとに丁寧に説明をする。膨大な資料です。」(作業プロセス制定担当:M)

先述の通り、それまでは先輩技術者からの口伝で伝わってきた非定型的な技術を定型化させたのだ。作業を整理し、事細かに記すことで、誰もが理解し、技術を修得できるスキームを確立した。その作業工程は200以上にも及ぶ。

「生産現場の改善手法を参考に、一つひとつの作業内容を改めて紐解き、安全と品質を確保しつつ、無駄を省いて効率的に動ける方法を考えました。全体の作業時間に加え、工程ごとの経過時間も算出しています。」(作業プロセス制定担当:M)

要素作業書の細かさに最初は現場から反発の声も上がった。しかし、作業の経過時間が分かれば、技術修得の目安にもなり、自身の作業のどこに問題があるのか一人ひとり気付きやすくなると、その理由を丁寧に説明していった。現場と密にコミュニケーションを取り、一つひとつの動作に妥当性があるか、もっと良くなる方法はないかの協議も重ねた。実際に技術訓練がはじまると、現場の納得感も増していき、自然と反発は減っていったと作業プロセスの制定を担当したMは話す。

他にも重量のある工具を無理なく使えるように作業の角度の指示や、スムーズに作業するための高所作業車の停車位置など、これまで言語化されていなかった作業方法を明確にし、現場作業のしやすさを徹底的に追求した。

「この作業手順・方法なら、作業者の安全を確実に担保できるのか、という挑戦でした。自分の決めた作業方法が安全ルールの逸脱や工具の破損、その先には感電事故や停電を引き起こしてしまうこともあるかもしれません。絶対に事故を発生させないという信念のもと、すべての手順が最適なのかを常に考えていました。」(作業プロセス制定担当:M)

■「その先」まで見据えた技術教育を考える

こうしてそれぞれのパートで課題のピックアップと改善を繰り返し、新しい「間接活線工法」は形になっていった。
その想いを着実に全技術者に伝えるために。技術教育担当として育成プログラムの構築に携わったのがHである。

「まず研修所に所属する指導員の意識改革からはじまりました。指導員が納得できなければ、現場へは広がりません。また、今回は新人だけでなく、自分たちより年上のベテラン層にまで作業方法を教えなくてはならない。自分たちの師にも教え方の相談を重ね、最善策を探りました。」(技術教育担当:H)

これまでプライドを持って直接活線工法に従事してきた技術者。その気持ちを否定することなく、前向きに学んでもらうために工夫を取り入れた。

「ベテランの技術者と若年層の技術者を共に訓練させることにより、過去の導入時の経験を活かした指導をしていただく。そういった教育方法の立案であったり、身体負担が減らせるよう、短時間の訓練で技術修得できるようなスキームを作ったりして、"定年間近だから若手に任せるよ"と離脱する人を出さない努力もしました。」(技術教育担当:H)

作業の修得が進むにつれ「間接活線工法の方が慣れれば楽」「意外と作業しやすかった」とポジティブな意見が増え、その手応えを感じた。
さらに、現場が気軽にプロジェクトチームへ課題や改善策を伝えられるように問い合わせフォームも立ち上げた。

「私たちだけでは、現場の実際は把握しきれません。開設以降、600近い意見が寄せられています。常にアップデートすることで、より現場が立ち回りやすい工法になっていくと感じています。」(技術教育担当:H)

全技術者に技術指導を終えた今、新人教育の施策に乗り出している。間接活線工法では難しい環境など、直接活線工法が必要となる場面は今も残る。作業が必要となった場合、どう立ち回るべきか。普段は接しない高圧電流が流れる配電線の危険性はどのように知るのか。テキストの中の話にするのではなく、電力事業に携わる身として責任感を抱いてもらうために。新しい模索が続いている。

■プロジェクトから恒常業務へ

2025年10月、作業現場のうち98%の工法切替えが終わった。
「本音を言えば、100%達成できなかったことで手放しには喜べなかった」と安全ルールの制定を担当したKは悔しがった。
それでも工事会社を含め、多くの作業者の安全性を高め、点検・保守・工事業務を未来へつなぐ新たな安全文化の下地が整ったことは揺るぎなき事実だ。
プロジェクトチームは今、解散に向けてクロージングに入っている。
「これほど大きなプロジェクトに携わるのは、長い会社生活の中でも唯一ではないかと思える経験でした。」と全員がこれまでの道のりを振り返る。

工法を変える ― それは言葉にすればたった数文字だが、その実態は長年積み重ねてきた手法や文化を更新する大きな挑戦だった。
当たり前だった工程を一つひとつ見直すことで、まだ多くの改善の余地が眠っていることに気づく。
もっと安全に、もっとスムーズに。改善の積み重ねが、お客さまへ安定した電力を届け続ける力になる。見えないところでも、私たちの挑戦は続いている。

(掲載内容は、取材当時のものです。)

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